創業100年を超える、京都府の八幡市にある「朝日屋」さん。
伝統と革新が見事に調和した『鯖寿司』を提供しており、「全国お取り寄せグランプリ」で金賞を受賞したその実力は、全国的に高く評価されています。
創業以来、多くの人々に愛される「味」は、どのようにして生まれたのか?
その背景には、西川清さんの長年の修行と、先代から受け継いだ味へのこだわりがありました。
今回は、朝日屋の歴史と、鯖寿司がどのようにして日本一の称号を得たのか、その秘密に迫るインタビューをお届けします。
朝日屋
代表 西川 清
1974年7月2日
京都府八幡市生まれ
鯖の棒寿司【極み】が、ブルータスの「お取り寄せグランプリ」で『日本一』の称号を獲得。
その後、数々のメディアで取り上げられ、公式ネットショップの会員数は数千人規模。朝日屋名物 「鯖の棒寿司」は、全国に多くのファンをかかえる。
伝統を守り、未来へ繋ぐ—朝日屋の鯖寿司が生み出す「新しい味」
朝日屋の3代目、代表の西川清さんは、幼い頃から家業を継ぐことを決めていたと言います。高校を卒業すると同時に、大阪ミナミの割烹料理屋で7年間の修行を積む。
本日はよろしくお願いします!
まず修行時代から教えていただけますか。
こちらこそよろしくお願いします。
幼い頃から家業である朝日屋を継ぐことは決めていたので、高校を卒業してからすぐ、大阪ミナミにある割烹料理屋で修行させてもらいに行きました。
調理場に職人が20人ほどいる大所帯の割烹料理屋で、まるで戦場のような環境だったのを覚えています。
大阪ミナミでの修行時代、どのような経験をされましたか?
暗黙のルールや規則がきっちり決まっていて、とても厳しい環境でした。昔ながらの「修行」のイメージです。
ただ、先代である父親に幼い頃から厳しく指導されていたおかげで、私にとっては大変なのが当たり前だったので、特に辛いと思ったことはありませんでした。
同期で入った子は、すぐに辞めていきましたが。。
それよりも、「八寸場(はっすんば)」というポジションでの4年間の経験が大きかったですね。
「はっすんば」とは?
調理場の役割みたいなものですね。
花板(はないた)は「料理長」、焼方(やきかた)、揚方(あげかた)など、調理場には多くのポジションがあります。
「八寸場(はっすんば)」は盛り付け担当のことです。
橋渡し役のようなポジションで、各ポジションで作った料理を八寸場で盛り付け、完成した料理を配膳役に橋渡しをする。いわゆる中継地点です。
八寸場は司令塔のような役割ということですね!
そうですね。
スムーズにお店を運営するために、実はこの八寸場(はっすんば)というポジションはとても重要なんです。
先輩の職人さんとの連携を大切にしながら、4年間このポジションを経験させていただきました。
厳しい修行時代に得たものを、一つ挙げるとしたら何でしょうか?
一番大きな学びは「全体を見渡す力」です。
「八寸場(はっすんば)」を4年間経験したことで、料理の匂いや温度、さらにはスタッフの声のトーンまで、細かな変化に気付けるようになりました。
この経験が、後に朝日屋の経営をする上で非常に役立っています。
修行で得た『全体を見る力』—それが現在の朝日屋の礎に
朝日屋に戻られたあと、最初どんな感じだったんですか?
朝日屋に戻った当初、先代から受け継いだ昔ながらのスタイルを守ることが最初の課題でした。
しかし、時代の流れに合わせて、今風に変えていかなければならないというプレッシャーも感じていました。
そこで「鯖寿司に特化するスタイル」に転換することにしました。
昔は、鯖寿司を提供していなかった?
昔は「バッテラ」が主流で、朝日屋の鯖寿司もバッテラのようなスタイルだったんです。
そこで、思い切って肉厚の鯖を使った棒寿司スタイルにして、鯖寿司に特化したお店に転換することにしました。
当時は、鯖寿司をこのような形で提供する店は少なく、それが私たちの強みになりました。
朝日屋の鯖寿司が日本一になったきっかけ
私も朝日屋さんの鯖寿司ファンの一人ですが、本当に美味しいですよね!他の鯖寿司とどう違うのでしょうか?
ありがとうございます。
そう言ってもらえると嬉しいです。
違いは、そうですね、
食材へのこだわりと丁寧な仕事かもしれません。
朝日屋には職人が7人いますが、日々、本物の味を追い求めていこうという話は常にしています。
お米と鯖と昆布のマッチングが絶妙です!
どうすれば、こんなに”まろやか”になるのでしょうか?
ありがとう(笑)
昔、価格設定で悩んだ時がありました。大きな鯖は高価なので、本当に納得のいく鯖寿司を作ろうとすると、それなりの価格になってしまいます。
悩んでいたとき、ある常連のお客様が「本当に美味しいものが作れるなら、安売りしてはいけない」とアドバイスをくださいました。
たしかに値は張りますね。ただ、一度食べたことがある人なら価格も納得かと思います。
私も何度もリピートさせてもらってますが高いと思ったことはないです。
そう言ってもらえると嬉しいですね。
「本当に美味しいものが作れるなら、安売りしてはいけない。」この言葉が自信を持って価格設定を行う際の支えになりました。
味に対する自信を持つこと、それに見合った価値を提供することの重要性を改めて認識するきっかけにもなった出来事でした。
常連のお客様の一言が、妥協のない丁寧な仕事に繋がってるのですね!
ブルータス|お取り寄せグランプリで金賞受賞
ブルータス
お取り寄せグランプリ金賞受賞
「日本一の鯖寿司」の称号を獲得。
次に、グランプリのお話しを伺ってもよろしいでしょうか。お取り寄せ、日本一はすごいですね!
ありがとうございます。
ブルータスの「お取り寄せグランプリ」で金賞を受賞することができました。
どのような審査があったのでしょうか?
まずは予選、その後に本戦がありました。
当時、朝日屋のお取り寄せは、電話注文だったので、鯖寿司を送って欲しいと、いつも通り電話がかかってきました。
後で聞くと、主催者のスタッフさんからの注文だったのですが、これが予選だったようです。
おおー覆面審査ですね。
本戦は、12種類の鯖寿司から審査員によって評価される形式でした。(秋元康さんや著名な方々が審査員)
自信を持って最高の状態で鯖寿司を提供できた自負がありました。審査員の方々にも、その自信が伝わったのではないかと思います。
金賞を受賞した瞬間は、これまでの努力が報われたと感じ、職人たちと一緒に喜びを分かち合いました。
名実ともに最高の鯖寿司ですね!
朝日屋さんのファンとしては、まだ食べたことが無い方は、騙されたと思って一度食べてもらいたいです。
どハマりすること間違いなしです!
ありがとうございます(笑)
「お取り寄せグランプリ」で金賞を受賞(2017年)。この受賞が朝日屋の知名度を飛躍的に高め、さらに岩清水八幡宮の国宝認定も重なり、メディアに頻繁に取り上げられるようになる。
最後に
Q: 最後に、朝日屋の今後の目標やビジョンについてお聞かせください。
スタッフ全員で、さらに美味しい鯖寿司を追求し続けていきます。
そして朝日屋に関わるすべての人々が幸せを感じられる企業にしたいですね。
本日は、ありがとうございました。
またインタビューさせてください!
こちらこそありがとうございました。
また機会があればお願いしますね。
朝日屋の鯖寿司が日本一に選ばれた理由は、単なる技術の高さだけではありません。そこには、西川清さんの情熱と、先代から受け継がれた伝統への深い敬意がありました。
時代の変化に対応しながらも、決して失われることのない「本物」の味を追求する姿勢こそが、多くの人々に愛される理由の一つなのかもしれません。
『日本一の称号を持つその味を食らうと、家族や友人に勧めたくなること間違いなし。』伝統を守りつつも、新しい挑戦を続ける朝日屋。
「朝日屋名物 鯖の棒寿司」は、これからも多くの人々に愛され続けることでしょう。
朝日屋
代表 西川 清
1974年7月2日
京都府八幡市生まれ
鯖の棒寿司【極み】が、ブルータスの「お取り寄せグランプリ」で『日本一』の称号を獲得。
その後、数々のメディアで取り上げられ、公式ネットショップの会員数は数千人規模。朝日屋名物 「鯖の棒寿司」は、全国に多くのファンをかかえる。