
【特別取材】元女子プロ野球選手・小西美加さんが挑む『こにたんプロジェクト』

13歳で夢は理不尽に奪われた。
でも彼女は、あきらめなかった。
そして今、“その夢”を、世界中の子どもたちに託している。
野球で世界を変える
『こにたんプロジェクト』
「君だけは入れない。女の子だから」
中学のボーイズリーグ(野球)のトライアウトで、成績はトップ。
けれど選ばれなかった。
理由はたったひとつ、“女子”だから。
その日、13歳の小西美加さんは、夢を断たれました。
── どんな気持ちでしたか?
「…悔しくて、涙が止まりませんでした。でも、野球をやめるという選択肢は、最初からなかったんです。」
悔しさが、火種に。
その火はやがて、プロの舞台へ。
そして今、世界中の“夢をあきらめかけている子どもたち”へと、灯されようとしている。


日本女子プロ野球界で、元祖・二刀流として大活躍した小西美加さん。
今は、世界の子どもたちの夢を応援する『こにたんプロジェクト』を立ち上げ、世界を駆け回っています。
今回、あのメディア編集長・岩田とライター・間(はざま)のふたりで、小西さんの歩んできた道とその情熱の核心に迫ります。
2020年1月にスタートした、全世界への野球普及活動。
これまで支援してきた子どもたち約1,000名、
寄贈グラブ約500個、寄贈バッド約30本、寄贈ボール約2,000球。
【活動実績】
- 第1弾 2020年:ブラジル・パラグアイ
- 第2弾 2023年:ブラジル・パラグアイ・アルゼンチン・ボリビア
- 第3弾 2024年:ミクロネシア
- 第4弾 2025年:ブラジル・パラグアイ
※計4回の海外支援訪問
「女子だから入れない」─夢を奪われた13歳

まず、小西さんが野球を始めた頃について教えてください。
何歳から野球を始めたんですか?



野球を始めたのは、小学3年生からです。
ある日、近所で雪合戦をしていて、投げる様子を見ていた野球チームの監督が「上手いな〜!」と褒めてくれたことがきっかけで(笑)
それから「野球がやりたい」と親にお願いしました。



雪合戦ですか!笑
そのあと、13歳?で野球が突然できなくなってしまったんですよね?



そうなんです。
小学6年生のとき、中学のボーイズリーグのトライアウトを受けて、私は全成績トップ。でも「女子は採らない」と断られました。
「男子しか採らないなら、なんで受けさせたんですか?」と喧嘩しましたね。それから20歳になるまでは、女子であることを理由に野球ができませんでした。





あの出来事は、今でもはっきり覚えています。
本当に悔しかったですね。性別だけで夢が閉ざされるなんて、納得できなかったです。
これまで数多くのタイトルを手にしてきた小西さん。
しかし、20歳になるまでの野球経験は、小学3年〜6年生まで続けた少年野球のみ。
小西さんは大学卒業後から5年後、初めて女子プロ野球リーグが設立されたニュースが飛び込んできて、「やっと全力で野球ができるかもしれない」と期待が高まった。
「25年前の私」と重なった少女・Emilyちゃん
野球ができなかった背景には、野球は男のスポーツであるという当時の環境がある。
そんな悔しい経験をしているからこそ、男女差別や貧困などで「野球をしたくてもできない」世界中の子どもたちの気持ちがわかるのだろう。



2019年12月末のシーズンまでプロ野球選手として活躍されました。
引退された翌月2020年1月に『こにたんプロジェクト』第一弾として、ブラジルとパラグアイに行かれたんですよね?



はい。2018年から毎年、JICA日系社会研修の女子野球講師として呼んでいただいたことが、南米に行くことになったきっかけです。
あっ!あと、ブラジルで野球をしている13歳のEmilyちゃんという女の子から、「一緒にキャッチボールがしたい」という手紙が届いたんです。
彼女は偶然YouTubeで私の存在を知って、「こんな人が日本にいるんだ!会いたい!」と思ってくれたそうです。





なるほど、『こにたんプロジェクト』は、「JICA(ジャイカ)」と「Emilyちゃんの手紙」がきっかけで始まったんですね!
Emilyちゃんとの感動の初対面は、日本のテレビで特集され、現地メディアでも大きな話題になったそうですね。



『こにたんプロジェクト第一弾』は、Emilyちゃんに会うことも目的の1つとしていて、ありがたいことにテレビで取り上げて頂きました。
実際に現地へ行き、キャッチボールをしたときの彼女の表情が忘れられません。
彼女の目が、昔の私と重なったんですよね。「がんばるね」って言われた瞬間、胸の奥をキュッとつかまれたような気がしました。







Emilyちゃんとの出会いが、さらに多くの子どもたちに「“きっかけ”を届けたい」そう強く思うようになった出来事だったのではないでしょうか?



そうですね。ブラジルの場合は、15歳になると女子は野球の道に進めません。
女子選手の大会登録は、対象年齢13~14歳で最後なんです。25年前の日本を見ているようで、自分と重なりました。
Emilyちゃんの嬉しそうな笑顔を見てから、世界中の「野球をやりたくでもできない子どもたち」のために、“野球の素晴らしさ”をもっと届けたいと考えるようになりました。




野球が、世界を変える「きっかけ」に





小西さんのストーリー、、
映画とかに出てきそう(笑)
小西さんにとって、野球の魅力をひとことで言うと?



野球の一番の魅力…そうですね、
100回投げても、1回だけ完璧な1球がある。それを求めて、またグラウンドに立ってしまうんです。
あと私はピッチャーも、内野手も、最後は外野まで全部やりたくて。野球は限界がないスポーツ。自分がどこまでできるか、試したかったんですよね。



小西さんが体験された野球の面白さや経験を「子どもたちにも味わってほしい」という熱意をすごく感じます。
実際、南米へ訪問されて、野球の普及活動への「意義」みたいなものを感じた瞬間があれば教えて頂きたいです。



そうですね。第3弾で訪問したミクロネシアは、1つも信号がないような、日本とはまったく違う生活水準なんですけど。
野球場が1箇所だけあって、ただ女子は入ることを許可されていないんです。私たちはその背景を知らないので、男女関係なくグラウンドに呼んで野球教室を開いたんですよ。
女子が野球場に入って野球をしたことは、ミクロネシアとして歴史的な瞬間だったらしく、あとでそれを聞いて、「野球が世界平和に繋がってる」って感慨深い経験でした。
野球をやりたくてもできない環境は、子どもたちの可能性を制限してしまう。
「私も同じような経験をしているからこそ、野球を通じて、子どもたちの未来を明るくできたらという想いで活動しています」と熱い想いを語ってくれました。
『こにたんプロジェクト』がつなぐ未来



南米では近年、南米野球大会が開催されるようになり、こにたんプロジェクトも支援されているんですね!



大会があると目標ができ、その過程で学びがあり、子どもたちの成長に繋がるのでしょうね。
今後、『こにたんプロジェクト』をどのように広げていきたいとお考えですか?



トップレベルの日本の野球をモデルケースとして、世界中に野球の素晴らしさを広げていきたいです。
世界中に野球の輪が広がれば、それが平和のきっかけにもなる、そう信じています。
野球を通して、犯罪が減り、最終的に戦争をやめる。そんなきっかけに、少しでも貢献できたらと心から思っています。



応援しています!
これまでお話を伺い、『こにたんプロジェクト』は、子どもたちにとって人生を変える転機になると確信しました。



「こにたんプロジェクト」をさらに広げていくためには、何が必要だと思いますか?



今後はさらに企業や団体と協力して、継続的に支援できる体制を作りたいと思っています。
今は年1回の訪問に対して応援していただく状態ですが、年間を通じて応援できるようなシステム作りが課題です。







応援したいと思ってくれる企業は、たくさんありそうですよね!単純に応援したいですし、企業側にもメリット多いと思うし。



そう思ってもらえると嬉しいですね!
企業の皆さまと「未来を共創する関係」を築くことが大切だと思っています。
現地での成果レポートを発信したり、ロゴ入りユニフォームでPRさせてもらったり、応援してくださる企業様にとってもプラスになる取り組みを、さらに加速させていく予定です。



弊社として、もちろん応援させていただきます!
具体的にはどのような形の応援になりますか?



ありがとうございます!
まずはホームページからお問い合わせ頂ければ、私から説明させてもらいます。
岩田さんにはあとで詳しく説明します(笑)
あとがき
『こにたんプロジェクト』は、野球を通じて、世界中の子どもたちに勇気を与え続けています。
13歳で夢を断たれた少女が、今度は『夢を託す側』に。
『こにたんプロジェクト』がきっかけで野球を始めたり、何かに挑戦したり、そんな子ども達が世界中に増えることを願っています。
『こにたんプロジェクト』
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あなたの想いが、“次のEmilyちゃん”に届くかもしれません。
寄付・用具提供・企業連携など、できることからぜひご参加ください。
かつて夢を断たれた13歳の少女が、今は夢を届ける側に立っている。
その姿を見た誰かが、また一歩を踏み出す。
「希望の連鎖」は今も続いている。